12分の1オクターブ
いきなりですが、僕は一番最初の記事にこんな式を書きました。周波数fでmオクターブ高いラになる関係の式です。
f=440×2^m
この式で言い忘れていたことが一つあります。mは整数しか入らないんです。整数なら1でも2でも、100でも入れてもいいし、0でも-5とかでもいいんです。
ただ、mに整数でない数を入れてはいけません。例えばmに0.5を入れたら、それは「ラ」ではなくて「レ♯」になってしまいます。今回はこれについて考察したいと思います。
まず、音階はシャープとフラットを合わせて12個あります。そして「ラ」はm=0のとき、「高いラ」はm=1のときです。つまり1オクターブ、0から1までを単純に12等分すれば音階になりますよね。
ラ→m=0/12=0
ラ♯→m=1/12
シ→m=2/12=1/6
ド→m=3/12=1/4
ド♯→m=4/12=1/3
レ→m=5/12
レ♯→m=6/12=1/2
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ソ→m=10/12=5/6
ソ♯→m=11/12
ラ(高いラ)→m=12/12=1
こうやって作った音階を平均律と言います。見てわかる方も多いと思いますが、前に「ハーモニーを物理学で奏でる」で書いた「簡単な整数の比」なんてものはガン無視です。mに入れる数は簡単な整数の比にはなっていますが、肝心の周波数は簡単どころか整数の比にすらなりません。
しかし、「だいたいは」協和音になります。あるところで妥協しないとピタゴラス音階みたいにうなりが目立ってしまうんです。
それではドの周波数を1としたときの平均律の音階の周波数の比とハーモニーを見比べてみましょう。
レ♯→1.19(短3度は1.2)
ミ→1.26(長3度は1.25)
ファ→1.33(完全5度は1.33)
ソ→1.50(完全5度は1.5)
ソ♯→1.60(長3度は1.6)
ラ→1.68(短3度は1.67)
誤差は0.01Hz以内で収まっています。100秒に1回か二回しかうなりがおきないので、「だいたいは」協和音になるんです。
次回は平均律を元にして音階を数学的に定義したいと思います。